ターゲット客層は明確か

これも目的と同じくハッキリしていない宿が多いのです。老若男女、個人も団体も外国人も誰でも来てくださーい!というのは大規模な昭和スタイルホテルの営業です。

小規模宿は客室が少なく、すぐ満室になるとしても、大規模ホテルより明瞭なターゲットを絞って集客すべきです。「誰でもOK」は都市部の駅前店で収益を目的としたゲストハウスに有効です。しかしそれは経営者にとって楽しいものではなくなります。

小さなブランド化

「誰でも気軽に泊まれる安宿」ではなく、「20代一人旅女子が推す町宿」「海外からのサーファーが滞在する海の前の宿」「定年後の老夫婦が憧れる時間をかけて訪れたい雲の上の宿」など、年齢や性別だけでなく旅人の旅行スタイルや目的が絞られていると、そのターゲットは絶え間なく訪れるようになります。

自然と似たような客層が集まるようになるフックは、ゲストによるレビュー

ゲストハウスやAirbnb経営にとって最も集客の種になるのは、レビューです。予約サイトやHPにどれだけ素晴らしい文章を書いてもゲストには大して響きません。生の声が1番の信用情報になります。たとえターゲット違いのゲストが「若いバックパッカーが夜遅くまで騒いでる」と悪評価を残したとしても、それが自分の求めるものであれば、その後は若いバックパッカーが集まる宿になるでしょう。

ターゲットを絞らないとどうなるのか


統一性のない客層が混ざると、トラブルが増えます。目的、求めるもの、値段感覚などが違うので、誤解を招き悪評価レビューが増えるでしょう。もちろん価値観が違えばマナーにも差があり、それを無理やり管理しようとすればルールと張り紙だらけの宿になり、ホストもゲストも疲れるでしょう。

これは大きなホテルも見直す問題ですが、自分の宿に滞在して楽しんでいるゲストはどんな人たちでしょうか?

チェックしてみよう
  • 年齢層は
  • 性別は
  • 一人、カップル、友達?
  • 滞在期間は
  • 国籍やエリアは
  • どんな旅のスタイルか
  • どんな目的でこの地域に来たのか
  • 小宿に適した旅人か
  • NGの客層は

私の場合、以下のようなターゲット設定をしています。
・3泊以上する旅慣れたスキー/スノーボード好きの欧米人
・家に戻った気分で過ごせる場所を求めている
・問題なく英語が通じる場所を求めている
・日本の文化が好きで聞きたいことがたくさんある、ローカル日本人と会話したい
・完璧な設備よりもホストに対する信頼を重視する人
・過去のレビュー(Airbnb)と自己紹介がある人
・10歳以下、ペット、大グループお断り
・予約前に大量の質問をしてくる人(自分で調べない人)お断り

Neco
Neco

非ターゲットも明確にしよう

100%とは言えませんが80%くらいはこれに該当したゲストが宿泊しています。欧米人に絞るのは差別的ですが、自分の宿のスタイルに多くのアジア人の感覚はマッチしないのでゲストに不快な思いをさせてしまいます。

ターゲットを持たない小宿の残念な例

ターゲットを持たないオーナーというのは、宿泊客への思いやりも薄く感じてしまいます。
目的よりもターゲットのない宿の方が、経営継続は難しいでしょう。

ハードだけ整えて客を待つ宿

助成金などを利用し設備を整えただけの宿。綺麗なので初めは集客できるが、中身がなく「ガッカリ」させることも多い。

通年集客しようとは思っていない箱物だけの宿

祝日やイベント時の予約に期待し、小遣い稼ぎになれば良いという考えの宿。メインの仕事をほかに持っていて、フレキシブルな対応ができない。田舎に多いですが、「不在のため18時に来てください」とメッセージが来てキャンセルしました。

張り紙だらけの宿

先述しましたが、客層が違えば誤解もトラブルも増えます。それでも行使しようとするなら、規約や張り紙、脅しのような文言が増えてしまうのです。いくつかそういう宿を見ましたが、オーナーの気持ちも察する一方で、客としては不快でしたね。

世間の相場に対応していない

その料金に対して無理して泊まる客層がいれば多くを期待するので当然不快な思いをするでしょう。6000円/人でカプセルタイプのシェアルームに無愛想で地域のことも答えられないスタッフ。20,000円/人で接客用語も話せない上から目線の早口フロント。

お客様に合わせるのではなく、自分の宿に合う旅行者を集める

“お客様”の言いなりは古い宿の悪例です。振り回されて「何でも屋」に成り下がるだけですし、それはおもてなしやフットワークとは違います。小宿の場合、ないものはない、出来ないことは出来ないと線引きしないと体力的に不利益になります。お金を払うと言われても断る方が、将来的には吉となるでしょう。

「宿はお客様を選べない」時代は終わりました。Airbnbは自動予約をオフにすれば選べます。この人、なんか違うなぁと思えば私は予約リクエストを却下しています。
せこく少しでも稼ぎたいなら受け入れるべきでしょうが、品質はどんどん落ちるでしょう。
私は、お互いが気持ちよく過ごしたいのでターゲットから外れる人は泊めない方針です。

自分はそのターゲット層の1人であること

これが最も大切なポイントです。絞ったターゲットにあなた自身が旅人として該当していますか。
自分がその枠にいなければ、お客様のニーズに答えることは到底無理です。

客層が定着していれば転ばない

集客できているときは良いですが、想定外の状況になったときに「誰でもOK」だった宿は動転します。コロナ禍では世界がパニックに陥り、観光業界は危機状態となりました。2019年までインバウンドに頼った多くのホテルが倒産しました。観光スポット、港や駅が閉鎖するパターンもあります。
ターゲットが定着していると、大きな打撃も受けずいつもと同じ経営を維持できますし、未来への不安もありません。(特にホストへの信頼スコアが高ければ落ち込むことはないでしょう)。