こんな当たり前のことがブレている宿がたくさんあると感じました。当初の士気や野心がどんどん薄れてしまった人、違う方向にそれてしまった人など様々かと思いますが、改めて当初の目的を思い出してみましょう。
目的がハッキリしていない宿は、ゲスト側もモヤモヤします。接客態度も事務的になり、ゲストは価格相応の価値を感じず「印象の薄い宿」として記憶に残りません。
宿を始めた理由。マクロとミクロ、両方を言えますか
・地域活性化のため
・空き家を活用するため
・自宅の空き部屋を有効利用したい。
・アクティビティの拠点にしたい
・宿泊難民を救うため
・もっとこの観光地を知ってもらうため
・地域のコミュニティスペースとしても活用されたい。
・◯◯(趣味)が好きな人が集まる場所にしたい。
・別の目的のために、いろんな人と知り合って繋がりたい。
・様々な人を受け入れて、地域の魅力を発信してほしい。
・移住を前提に、体験を兼ねて長期で滞在してほしい、仕事も斡旋したい。
・アパートが少ない地域で働く人のシェアハウスとして利用してほしい。
・本業を手伝ってほしい(農家や他の商売をしている人)
思い立ったものを並べてみましたが、いかがでしょうか。
この2つは経営しているうちに現実を知って方向を変える人や、目的がどんどん増える人がいます。収益の問題にもぶつかるので、1つを何年も貫くのは難しいことです。
稼ぐことを目的にすると意志がぶれて経営は傾く
収入が目的の宿経営はおすすめしません。これを中心に計画してしまうと、一喜一憂を繰り返し、現実は経費以上に消耗することが多く、精神的にも不安定になるでしょう。
お金以上のものを獲得・学習できると確信できる経験を重ねれば、本来の目的を失うことはないはずです。
私の事例 ー ずっと旅の中にいたいから
- 10年以上通い続けた1番好きなスキー場を外国人に知ってもらいたかった。
- ドアを開ければ海外を旅してる状況に戻れる空間がほしかった。
- 楽しいけど疲れる日本で、家に帰ったような空間を提供したかった。
- 世界各国の話、スキー場の話を互いに共有したかった。
- 日本人と話す機会のない旅人のいろんな質問に答えたかった。
こんな遊びのような目的が私の成功している宿を常に支えています。
自分の小さな欲がしっかり満たされる状態、つまり「楽しい」と思える種です。
もちろんそれは、私がゲストの立場になって気持ちがわかるほどの経験をしてきたからです。
これは大きな宿では不可能です。小さな宿で確実に、ニーズを理解できるゲストにむけて経営するなら成功する自信がありました。
宿経営の目的は小さくとも揺るがないもの
- 何をきっかけに営業しようと決めたのか
- はっきりとしたビジョンがあるか
- そもそもその土地や観光に詳しいか
- 宿経営で得たいものは何か
- どんな点で宿泊客に役立ちたいか
小さな欲でも意志がはっきりしていれば、協力者やハード資金はそれほど重要ではありません。キャパを超えた目的や計画を掲げてしまうと、トラブルや出費に心が折れてしまいます。
「なんとなくオープン」してみても立地によっては小遣い稼ぎになるかもしれませんが、その方法については私は助言できません。