そもそもの話になりますが、旅行をしない人が観光業で生計を立てるのは難しいでしょう。
いつも団体ツアー旅行をするのにバックパッカーを喜ばせる商売はできません。
美味しいものを食べていない人が美味しいものは作れません。
「若い頃はいろいろ旅行した」ではなく、経営しているのは「今」ですから、現在進行系で旅人であるべきです。時代とともに旅人が求めるものも変わってきます。他所へ行くとあなたが知らない便利なものもたくさん取り入れています。ずっと好奇心をもって新しい場所を巡る、視察を兼ねた旅は必要でしょう。
自分の旅行中に求めるものが、自分の宿に揃っていますか
立地のいい場所で、ハードにもスタッフにも投資すれば問題なく経営できるかもしれませんが、そういう宿は質が悪い。田舎で地域を牛耳っている会社が経営する宿や飲食店はだいたい低品質です。時間がたてば老朽化は目立ちますし、ターゲットを絞っていないので悪評価やトラブルが多発します。
- フロント・オーナーの対応
- コミュニケーション
- 立地・眺望
- 送迎やツアー
- 内装・空間
- 食事
- 清潔さ
- 設備・備品の充実
- 値段
- 語学
立地・眺望、設備、食事に重点を置くなら資金が必要になりますよね。しかしその他に関してはオーナーの努力やフットワークの軽さの問題です。
お金で解決できない部分に注力する差で個性がでる。旅経験を活かしてアウトプットすればいい。
旅行できない人たちの地を体感しよう
途上国を旅すると一目瞭然ですが、どの宿もそっくりなのです。飲食店のメニューも同じ。ツアー内容も使う写真も同じ。値段相場もほぼ同じ。彼らは海外を旅行できないので、どこか1軒が成功すればこぞって真似をするのです。これは日本の田舎や古い旅行社にも似た雰囲気があります。
外ではどんな品質レベルでどれくらいの料金設定をしているのかもわからないのです。
逆に外の世界がわからないからこそ、値段以上のサービスを提供する地域もあります。
しかし日本でこの言い訳は通用しません。「田舎だから、年寄だから」というのはあまりにも都合のいい言い訳です。お客様は都会から、海外から、若い世代も大家族も来るのです。
至らない部分が許される宿であるために、どういう宿であるかをきちんと表現する必要があるのです。
自分が体験した旅の出会いが、いま自分の宿にあるのか
私のホスピタリティの原点はニュージーランドにあります。家族のように扱うフレンドリーさ、大らかさ、清潔感、旅の提案、自由に過ごせる空間の提供、注意事項のない暗黙のマナー…
もちろん他の国でもたくさんのオーナーや家族に親切にしていただきました。
そこで受けた恩恵をできるだけ形にして経営しています。
さらにアメニティやちょっとしたこだわりなども、世界を旅して学んだことを実現しています。
私が好む宿にはこういう人たちが多く集まります。私自身もこの一人です。
- 設備や近代的なものを重要視しない、または自分で兼ね備えているデジタルノマド
- 自分で調べて行動する長期の一人旅に慣れている人
- 決してセコい旅をしているわけではない
- 個人主義である一方でご縁を大切にする社交的な人
- 挨拶や清潔さなどのモラルがある人(図々しくない)
これらに当てはまる人たちが自然と集まる宿になっています。(圧倒的にイギリス人・フランス人が多い)
もちろんチェックイン/アウト時のコミュニケーションだけで十分、できれば顔も合わさずセルフがいい人は、そのタイプの宿の経営に向いています。
自分が泊まりたい宿を経営すればいいだけだよ
- 自分は旅人であり続けているか
- 自分が宿に求めるものは何か
- 資金では補えないものに注力しているか
- 自分の宿は居心地のいい宿か